古今東西音楽館増築部

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ワイド節(2)〜ハシケン
感謝 小さな画像で見ればお坊ちゃまの風貌ですが,一筋縄では行かない歌い手であります。下の画像と見比べたらわかるってもんですね。1998年のセカンド・ソロ「感謝」に入っている生ギター・バージョン。イントロのジョン・リー・フッカー(註:ブルースに詳しくないので適当な人名を入れました。分かってる人は正しく読み替えてください。)ばりのパワフルで泥臭いブルース・フィーリングで歌う“ワイド節”。

 民俗音楽にしろトラッドと呼ばれる音楽にしろ,異質な風土で生まれた歌をここまで自家薬籠中の物にした例は世界でも片手に余ると言い切ってしまいましょう。
 奄美の民謡界にどんな衝撃を走らせたのか,その後のハシケンの人気+“ワイド節”のさらなる人気を見るとよく分かります。

ハシケン・プレゼンツ ハシケン・プレゼンツ“ワイド”ミディ・クリエイティブ CXCA-1099(2002)
 こちらはホーン・セクションを交えたファンキーなバンド・バージョン。最上級の気持ち良さ。おまけに“稲スリ節”もスカだしね。普通の店でも買えまっせ。パッケージは一回り大きい厚紙ジャケ・英語表記の「輸出仕様」で目立つよ。
| gingerpop | compound | 16:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
ワイド節(1)
 物悲しい歌の多い奄美民謡の中で“六調”とならんでお祭りの唄の代表である“ワイド節”。徳之島の闘牛…と言ってもスペインの人vs牛でなくて,闘鶏や闘犬みたいに牛同士を戦わす…をテーマにした威勢の良い曲です。
 昭和53年,作詞:中村民郎・作曲:坪山豊の手により誕生。築地俊造氏によって歌われ徳之島で大フィーバー(死語?)を巻き起こし新民謡として根付き今に至る。最初に録音された築地さんはよりディープな感じがします。「カサン節」と呼ばれる北部の歌い方だそうです。
 作者の坪山さんは3〜4度の録音を行っていて,お囃子だけの素朴なもの,指笛・太鼓を加えた賑やかなもの,そして館主最大の興味を持つ『レイト・シクスティーズ・ブルースロック・バージョン』があります。

ワイド節 日本のロックの黎明期に興味のある人すべてに聞いてもらいたい1曲です。
 低く大地を踏みしめるドラムとベース,トゥ〜ンと伸びたギターは奄美生まれのクリーム(Cream: Eric Crapton, Jack Bruce, Ginger Bakerのトリオ)。何年の録音なのか分かりませんが,あの頃の匂いが強烈に漂って来ます。本土に紹介されていれば,日本のロックが進む別の道が敷かれていたかもしれません。或いは無視されて終わった可能性もあります。だからこそ,今「ニューロックの夜明け」等のシリーズに入れて多くの耳に届かせて欲しいと思うのですが,原盤を持っている会社なり人なりから関係者にプッシュしても良いのじゃないでしょうか?

 “ワイド節”の誕生にはとても興味深い裏話があるのですが,聞いた知識を披露するのは止しておきます。奄美の民謡に興味のある人は専門のサイトで知ることが出来るでしょう。
| gingerpop | compound | 20:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
ブルガリア,トゥバ,ロシアの三種混合
Mountain TaleMountain Tale(1998)
Angelite & Moscow Art Trio with Huun-Huur-Tu
JARO/Zebra Acoustic ZA-44405-2(1999)

「Compound=化合物,合成」のカテゴリーを加えます。錬金術ぽいので「Amalgam=水銀と他の金属との合金」にしようかとも思いましたが,こちらは対立的要素の混交の印象があって没にしました。間違った使い方かもしれませんが,まあいいやって。(;^_^)ゞ

 ブルガリアとロシア,そしてトゥバ。それぞれが確固たる強い個性を持った歌声と音楽の伝統を持った国です。その3国を代表する民俗音楽家を一つの容器に入れてシェイクしたらどうなるか。「トゥバ人の父とブルガリア人の母を持つロシア人の娘とユダヤ人の息子…」これは1996年に出た同じメンバーによる1作目の解説です。未聴なので本作とどう違うのか分かりませんが,世間の地声合唱好きを狂喜(驚愕)させたカクテルが生まれたのは疑いないでしょう。

angelite,Huun-Huur-Tu Angelite はおよそ20人のブルガリアの女声合唱団。The Bulgarian Voices [Angelite] なる名称が本名らしい。Moscow Art Trio は,ロシアの伝統音楽の実践的研究家 Sergey Starostin,民族的ジャズ・ピアニスト Mikhail Alperin を擁する男性トリオ。そして Huun-Huur-Tu はトゥバ共和国を代表する音楽グループ。アメリカや日本でも人気があり国際親善大使的な役割も担っているようで。ロシア勢の位置がちょっと分かりにくいけど,バラライカを弾いたりロシア民謡を歌ったりする人達ではありません。
 今回改めて聞いてみての一番の感想は,しっかりとコントロールされた音楽なんだなあということでした。

 その昔,ラジオからクラフトワーク(KRAFTWERK,クラフトヴェルク)と西アフリカの子供の歌が同時に流れて来たのを耳にした時,その発想と選曲の妙に感動し,すっかり脱帽したことがあります。あまり面白かったので,それからしばらく似たような真似を何度かやってみましたが,あれほどの絶妙なハマリ方はなかなか出来るものではありませんでした。調整室で微妙なスピード調節をしていたのかもしれません。
 このCDでも「偶然の産物」と言いながら,ルーツの異なる曲をテンポだけ合わせて歌う試みにも挑戦しています。ロシアのメロディを不協和音の女声が合唱し,ロシア人の大地を朗々と渡る男声が,野趣な響きが俄然突出するホーメイとぶつかり合う。…いったいどんな世界の音楽でしょう。面白い面白いと言っている間に時間の感覚が麻痺して最後まで聞き通してしまってます。
| gingerpop | compound | 23:01 | comments(2) | trackbacks(16) |
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