古今東西音楽館増築部

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今日のプラネテス
NHK 水曜深夜00:25〜放映「プラネテス」

こちらで語るのは初めてなので少し無駄話から始めましょう。

 アポロ計画が何故か頓挫してしまい,人類の宇宙進出の夢を砕かれた少年達は,電脳空間の広がりに同じ夢を見ているでしょうか。そんなことはないと思います。多くの(かつての)少年は,曲がってしまった歴史こそ夢だと思いながら,嘘の現実をふわふわと生きているような,そんな気がします。
 「プラネテス」は,本当なら到来しているべきだった宇宙進出時代の近未来を,夢見させてくれるアニメなんです。ちょっと地味でもいい話が見たい人向きですね。

 そこには凶悪なエイリアンも宇宙戦争も,怪物も出て来ません。宇宙関連大企業のお荷物,衛星軌道上のゴミ回収科の会社員の物語り。宇宙…と言っても月までの世界ですが…に広がった人間社会のホームドラマ?青春もの?いえいえ,等身大の人間が生きてるまっとうな普通のSFドラマです。

 さて,昨夜の第11話は特にできの良い話でした。とある小国の中小企業の社長が自社開発の宇宙服を売り込みに来るが,既に寡占が進んでいる為に相手にされない。社内の派閥の鞘当てからデブリ科(ゴミ回収科)がひょんなことでテストを行うことになるのだが,社長に拘束命令が出てしまう。内戦続きの貧しい国を,産業育成によって立て直そうと奮闘してきた社長だったが,大国が彼の国の内戦に介入してきたのだった。

 世界標準の出来である事は証明されるのだが,社長は,宇宙服に書かれた開発の苦労を共にした仲間の名前,そして,テストの実現に協力してくれた同郷出身の(国を捨てたことを引け目に思っている)登場人物(主人公の元恋人だったりする)の名前を唱えて,連行されるのだった。眼下に見える地球には国境線など見えず,一つの美しい世界にしか見えないのに。


 とまあ,そんな話が,さらりとした明るい語り口で作られているのですが,だからこそ逆に感動がじんわりとやって来て後口が良いのです。感動やメッセージが大上段から大安売りされて,あっさりと消費されてしまう昨今では,貴重な作品だと思います。願わくば,今後も質を落とさず人気を得て欲しいな,と。
| gingerpop | TV, movies | 13:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
Ooh OOh Ahh 〜 Moments Of Musical Ecstasy
エロスの花道Arf! Arf! AACC-094
 初めに“ジュ・テーム…(Je T'Aime...)”ありき。二匹目のどぜうを狙った,喘ぎ声と大らかなセックス讃歌の大饗宴の本CD。1970年前後の音楽状況をほとんど網羅しながら花開いたセックス・ソング集です。音楽はヨーロピアン・ポップス,サイケ,ブルース,今で言うラウンジ(モンド),フリージャズ,テレミンまで聞こえてきます。当時の混沌がそのまま凝縮されてることは間違いないのですが,何にも情報がありません。せめて演奏者や録音日だけでも知りたいところです。

 これをどのように使うかは聞く人の自由ですが,ポルノ度では,洋モノの映像と同じくあっけらかんのマル出し。粘着度で劣り,勃起度は低いです。も少し想像力を刺激する淫靡さが欲しい所。とは言え,ニタニタしながら彼女に聞かせたりしようものなら嫌われること必至。くれぐれもご用心。

 お家で聞く時だって要注意。かけるなり♪うふぅぅん,あ°…あ°は,んん… 慌ててボリュームを下げる破目になります。しかし,マイク・ブルームフィールドのごときクリアーな響きのブルース・ギターのソロがバックから聞こえ,時々マーク・スタイン…と言っても誰も分るまい,バニラ・ファッジ(Vanilla Fudge)です…ばりの無限の空間を落ちて行くようなオルガンが流れるので,ちゃんと聞くならヘッドフォンを指し込みましょう。エッチな声を落ち着いて鑑賞しようとしても,ワウワウ・ギターのインプロヴィゼーションが延々と続きます。♪あぁん,おぉう,おぉ…。母音の「オ」を多用する所が西洋人です。ちょっと萎えます。(笑)
 息もつかせずフランク・プゥルセルか,ポール・モーリアか。…ソフトな喘ぎ声ばかりでちょっと芸がないぞと思ってると,出ました出ました。アート・アンサンブル・オブ・シカゴ。よし。サウンドのバラエティに富んでることは十分にわかった。

 実況中継を続けると,3分の1ほど過ぎて7曲目,ようやく女性ボーカルで歌が聞けます。お約束のウィスパー・ボイスで。うふうふ。でもすぐにスポーティーなディスコ,アフロ・ジャズなディスコに。制作者はきっと何も考えてない。おや,これは?…絶倫イタリア男が喋りまくりながら抒情派プログレの空に果てた後,突然現れるのはブライアン・オーガー。♪Ahh,baby...Love me...サイケ・ブルースに突入したジャズィなオルガンがかっこいい。おいこら,そこの女,邪魔だ。音楽を聞かせろ!とわめいた所でどうしようもなく…。声と音楽を左右に分離して収録しておいたらどうなってただろう。どうもならねえよ。(笑) とにかく,この頃のロックとポピュラーをマイナーな所までひたすら浴びていた人間にとっては,懐かしくてたまらない一枚であることは間違いない。エロの顔をした,まっとうなアングラ音楽のコンピレではあるまいか。

 この Arf! Arf!レーベルは,他にも「情けない失恋の歌を歌うガレージ・パンク」もの等色々出しているようで,マニアックなコレクターがテーマに沿って集め復刻した点では,我が国の名盤解放シリーズと双璧をなす…のかな,実際の所何も情報がなくて断言はできませんが。けど取り敢えず,どこの国にもスケベな奴が多いって結論で良いですか。

日本盤も出ています。「エロスの花道〜ジュ・テームだよ!全員集合!!」MSI MSIG-0048(2003)
| gingerpop | rarities | 23:55 | comments(2) | trackbacks(0) |
ドミニク(Dominique)(2)
 ザ・ピーナッツ版“ドミニク”を入手しました。「レッツ・ゴー ピーナッツ!」キング: KICS-545(1996)です。昭和37と39年に出たLP「ピーナッツのヒットパレード」第3集と第4集から20曲収録したもので,解説はなかったものの“モスコーの夜は更けて”も入っていて,ラッキー。
 件の“ドミニク”は,はたして女性版の歌詞でした。訳詞は福地美穂子,曲はTrad.になっています。前に書いた歌詞とは微妙に違ってましたが,問題の個所はちゃんと♪盲の少女…と聞き取れました。歌詞カードにも載っています。「不適当な表現を削除」されているだろうと思っていたので,ちょっと驚きました。

 しかし謎が増えてしまいました。映画「歌え!ドミニク」で主演のデビー・レイノルズが歌った版は,映画の公開と同じ1966年。ピーナッツは1964年です。オリジナルのヒットが1963年。どうなっているのでしょう。
 アメリカでのリリースの為に録音し直された版が作られて,それが女性版だったと。仮説を立てておいて調査ケイゾクとしますか。フランス語が理解できれば即解決なのかもしれませんが。(苦笑) さて,真相はいかに。

 オマケ:時々「ベルギー語でヒットした」という解説を目にすることもありますが,ベルギーはオランダ語(フラマン語),フランス語(ワロン語)を使う2言語圏に少数のドイツ語地域で構成される国だそうで,スール・スーリールの版はフランス語で歌われてるように聞こえます。
| gingerpop | oldies | 10:59 | comments(2) | trackbacks(2) |
ウィリアム・テル序曲(William Tell Overture)
 最初に聞いたのは音楽の授業だったと思う。小学校だか中学校だかの授業の記憶は霧の彼方であるため,動物の謝肉祭とか,くるみ割り人形とかと一緒くただが…。ここまで読んで,それはクラシックというジャンルの音楽でわないのか何処がおーるでぃーずなのか,と,そう突っ込んで来る人がいると思うので,少々嘆いておく。嗚呼,時代は変わってしまった。うぃりあむてると聞いて「うがい」の音を連想してしまう人間は圧倒的少数になってしまい,「ハイヨー!シルバー!」「キモサベ」と叫ぶ者もどれ程残っているだろうか。

 かつて,音楽の途中でピストルが発射されたり,動物の鳴き真似や妙ちきりんな日用品楽器が割り込んで来たり・・そんな面白いクラシックの楽曲がポピュラー音楽界には,かつて存在していたのだ。スパイク・ジョーンズの「ウィリアム・テル序曲」がヒット・チャートを賑わしたのは,まだ最近,1947年のことであり,白馬に乗った仮面のヒーロー,ローン・レンジャーがブラウン管に登場するたびに鳴り響く勇壮な曲を,日本中の少年が毎週心待ちにするようになったのは昭和33年(1958)からのことである。

 二つの思い出を同時に語るという実験的な手法を試みている為,語尾が「だ」調になっていますが気にしないように。

 ロックにもニューウェーブにも,ましてやディスコやクラブにも乗り切れず,変わった音楽を探していた頃,深夜ラジオのコミック・ソング特集かなんかで初めてスパイク・ジョーンズを聞いた時,初めて聞く未知の音楽のはずなのに,何故か先が読めてしまった。しかしその謎はすぐ解けた。フランキー堺の「ウィリアム・テル序曲」が記憶の箱から現れたからである。それにしてもフランキーのバージョンは何時頃耳にしていたのだろう。シャボン玉ホリデーだろうか…?
 スパイクに遅れること数年…おそらく昭和29〜30年(1954〜5)に,同じバンド名シティ・スリッカーズを名乗ってレコーディングされたカバー曲は,80年代にアナログ盤で1回,90年代にCDで1回再発されたので聞き比べることが出来る。

 笑いの要素で大きな違いは,まず,朝の情景から即うがいへ突入するフランキー版に対し,しょっぱなの金だらいを踏んづけて引っくり返したような大騒ぎで驚かせるスパイク版。が,この辺りの展開はほぼ同じ。決定的な違いは競馬中継の有無である。スパイクはこれを聞かせ所にしているのだが,気の抜けたアナウンサーによる実況とは言え,当然英語だし,子供の頃聞いていたら興味が湧いたかどうか。一方フランキーは植木等にズーズー弁で短いセリフを言わせているだけで,あくまでもスピードとヘンな音での勝負に賭ける。
 方言をネタにしたギャグを面白いと思ったことは余りないので,実はこの部分は記憶になく,改めて聞いてみてもむしろ谷啓がやっている(と解説にある)効果音の方にそそられてしまうのだった。

 音楽的にはやはり「間」の取り方が根本的に異なっていて,フランキーの方は民謡や日本調の曲の方が印象的なのである。本家のシティ・スリッカーズは根っからのコミック・ショー・バンド,日本のシティ・スリッカーズは笑いの取れるジャズ・バンドであったのだなと思った聞き比べであった。コミック・ソングやコミック・バンドについては,またいずれ。
| gingerpop | oldies | 16:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
Nancy Sinatra / California Girls
California Girls特にこのカリフォルニア少女は、もとは、ジャージーシティ(ゴールデンステートのmythicな性質を単に強調する事実)から降ります。そして、誤りを犯しません:それがセバスチャン・カボートの目盛りと全く一致するとは限らなくても、これはかなりのキッチュ・レコードです、ディランを歌います。ディズニーのカリフォルニア・アドベンチャー公園を備えた音楽の抱き合わせ、このテーマ・アルバム、シームレスに得点の宣言、新しくボビーTroup「ルート66」の録音版を備えたナンシー・シナトラの基準からのカリに関連する前の軌跡、バカラックの「あなたを行う、サンホセへの道を知っている。」シカゴの「公園の土曜」、および彼の常緑樹「カリフォルニア少女」上のブライアン・ウィルソンとのデュエットさえ。ナンシーの音声が家族遺伝子プール抽選から全く利益を得るとは限らなかった場合、それはその数年にわたって少しのジャズの真鍮およびキャラクターを開発しました、練り直すことを支援する要因、1つの(さえ)メロドラマ的、哀調をおびて厭世的な悲嘆の中へのママおよびパパ「夢見ているカリフォルニア」のように褐色。ブロンディー・ドラマーのようなゲストスターはバークおよび前の銃「n」を飢えさせます、プロジェクトを与えるバラ斧投げる人Gilbyクラークの試み、あるロック信用、しかし、シナトラのロイ・ウッドの動き古典に対する態度、「カリフォルニア人」(チープ・トリックの暑過ぎるカバー・バージョンによってもっと励起した)および「ホテル・カリフォルニア」のウィリアム・シャトナー価値のあるバージョンは、議長のミディアムを備えた自己の災難のび態を単にリコールします;恐らく、それは遺伝子中の何かです。しかし、彼女がもっとポップかつジャズ染められた資料に固執する場合、シナトラは彼女が明確に歌を売ることができることを示します。
| gingerpop | rarities | 21:27 | comments(2) | trackbacks(1) |
李香蘭(リィ・シャンラン)
李香蘭 1998年に百代/EMIから出た國語の歌18曲を収めた作品集です。香港,台湾,マレーシア,シンガポールの EMI の著作物とありながら,盤面にはメイド・イン・ジャパン。インレイの背表紙には DENON MASTERSONIC SERIES。このCDは EMI MASTERSONIC SERIES と銘打ちながら DENON…つまり日本コロムビアでリマスターされているらしい。(?_?)

 ところで「百代」とは何かと言うと,今世紀初頭にフランスのパテ社が上海の租界に設立したレコード会社です。「パテ→パイタイ=百代」ともじって名付けられたのが「東方百代唱片公司」だそうで。ちなみにパテ社は現在のフランスEMI。1930年にイギリスEMIに吸収されて「上海百代唱片公司」と社名変更したと聞きました。その後,時節柄香港に拠点を移して現在の「香港百代唱片公司」に至ると。
 資料によると1930年代の上海は,50局もの放送局,1000本近い映画,200万枚のレコードが音楽を流し続けていたのでした。華やかで活気に溢れた街を想像しますが,当然,酒と女や金との関りを知りたくなりますね。でも「上海バンスキング」も未体験な館主では貧弱な想像しか出て来ません。(;-_-)_あしからず。

 上海・香港で生まれたこれらの中国語(國語)の流行歌は1960年代には「時代曲」と呼ばれたそうです。「時代がかった古臭い曲」ではありません。「時代の寵児」の使い方の「時代」ね。映画の主題歌・挿入歌も多かったようですが,ジャズ,ラテン,クラシック,当時の世界の流行の最先端を行く音楽性に中国風のエキゾチシズムが良い具合に溶け合って,とても美味しい。マニアだけの物にしておくのは本当に勿体無い。現代の広東語ポップスとお土産カセットの民謡しか知らないのは,かなりの損です。が,時代曲についてはいずれまた。

 李香蘭の話の前に収録曲を。

01.夜來香 02.賣糖歌 03.海燕 04.蘭閨寂寂 05.烏鴉配鳳凰 06.身世飄零
07.河上的月色 08.心曲 09.分離 10.梅花 11.他總有一天回來 12.歌舞今宵
13.小時候 14.三年 15.情枷愛鎖 16.十里洋場 17.恨不相逢未嫁時 18.只有イ尓

 01〜03は声も可愛らしく,音質から戦前の録音だと思われますが,03はどう聞いても三拍子のソプラノの歌曲…どっかで聞いた覚えのある旋律だが…作曲者は華人。ローティーンの頃,健康の為に声楽をロシア人に習っていたと言う李香蘭の歌声は,端正で艶があって美しく,曲との相性もぴったりで,特にスローな曲は最上のうっとり級。美しいスコットランド民謡とそっくりな曲もあったりなんかして,素性を調べてみたくなります。

 中国楽器と中国民謡風のメロディのは1955年前後の映画「金瓶梅」の挿入歌,同時期に数本の香港映画に出ているので,この中の半分以上はこの時の録音でしょうか。香港ラテン・ソングの傑作“梅花(メェファ)”の名唱は「神秘夫人」の挿入歌,“心曲”も良い曲で…アメリカンな弦とピアノ…盗作かなと思ったらチャップリンの「街の灯」のテーマのようです。

 唯一残念なのは“賣糖歌”は入っているのに,対となる“戒煙歌”が入っていないこと。これは阿片中毒から立ち直ろうとする青年に恋をする飴売りの娘に扮した映画「萬古流芳」の重要な歌なのだ。…と言いつつ観てはいないんですけどね。百代マレーシアの20曲入りベストや国内盤のベストに入ってはいるそうだけれど,どうしようかなあ。
| gingerpop | vintage | 23:52 | comments(2) | trackbacks(0) |
月夜にボサノバ(Fly Me To The Moon)
 今では“月夜にボサノバ”の名でメロディを口ずさんでくれる人も滅多にいないであろう“フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン”。エヴァンゲリオンのエンディング・テーマに使われた事もありましたが,当時発生した大量のエヴァの信奉者の記憶には,ちゃんと仕舞われたでしょうか。

 原曲は1954年の"In Other Words"。ワルツ曲だったそうで,確かに4分の3拍子の歌や演奏のものを聞いたことがあります。実際にヒットしたのは1962年にボサノバ風の編曲で演奏されたバージョンで,その時から曲名も"Fly Me To The Moon"と変えられて有名になったとか。歌詞を訳してみると,こんな感じです。

  私を月へ飛ばして! 星の世界で遊ばせて!
  どんな風なのかしら,木星や火星の春って
  私に見せてちょうだい
  つまりね……手を握ってってことなの
  それはね……キスしてってことなの!

 宙に舞う気持ちとはこんなことを言うのでしょうか。世は米ソの宇宙開発競争時代,1957年のスプートニク1号に続いて翌年1月にはエクスプローラー号が打ち上げられています。そんな狂騒の世相も反映して,こんなロマンチックな歌詞が受けたのでしょう。数え切れないほどの男女が宇宙への憧れを口に乗せたかと思うと,何ともくすぐったいような気になります。今,未知の世界への冒険心は表舞台から姿を隠しているだけだと信じたい。消え失せたとは決して思いたくありません。

 日本では昭和37年(1962)に中尾ミエが歌っていますが,あまりボサノバらしからぬ演奏と歌で,歌詞も宇宙時代とはなんの関係もありません。印象の残らないラブソング。シングルのB面で出たんだそうです。
 当時,日本のレコード会社は「ニューリズム」なる珍奇なキャンペーンを次々と打つ事でブームを作り出していましたが,この時ボサノバが流行したのかどうか。ブラジル本国では短いブームだったそうで,むしろアメリカのジャズ・ミュージシャンが引き継いだ作品群の方が有名ですね。そのせいか,中尾ミエ版も間奏だけ聞くとぐいっとボッサ・ジャズ,ラテン・ジャズの雰囲気を濃くしています。

 オリジナルが誰なのか,日本語のカバー曲でヒットしたものがあるのか等々,この曲に関しては,そんな興味がほとんど湧いて来ません。題名と内容を知ってからというもの,聞こえてくる度に,目を開けたままでも体が一瞬無重力になったような不思議な感覚に囚われるのです。それだけ館主が宇宙好き,ということですかな。
| gingerpop | oldies | 01:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
悲しき60才 (Mustafa)
 記憶の棚の童謡のコーナーに仕舞われていたこの歌を歌っていたのが誰なのか,長い間知りませんでした。昭和35年(1960)の坂本九ちゃんデビュー時のヒットなのだそうです。その後の“ステキなタイミング”や“うへをむふいてあるこほほほ”と違って,ちょっと気の抜けたコーラス(パラダイス・キング)や物語り調の歌詞(by 青島幸男)…村一番の怠け者のムスターファが恋をして奮起一転,金持ちになった後で娘を迎えに行くと娘は…,さらにアラブ風味のアレンジが九ちゃんと結びつかなかった理由かな。

 元々はエジプトの民謡だと聞いたことがありますがどうでしょう。♪遠い昔のトルコ国の〜〜だもんね。検索でケマル・ラシッド&オトマンズなるグループも引っ掛かり・・,オトマン=オスマン・トルコだったら,やっぱ,トルコ民謡でしょう。ゴリゴリのトルコ・ポップスでも聞いてみたいので,そう決めます。(笑)

 アメリカでヒットしたアーチー・ブライヤー(Archie Bleyer)は未聴。本家はどれかなあ。パラキンはどのバージョンを参考にしたのかなあ。今手元で聴ける正体不明の Los Espanores(ロス・エスパニョーレス?正体不明)は,後半ジャズっぽいノリになったりして一筋縄では行かない面白い演奏をしてる。パラキンよりキーがかなり高いけど,祭囃子のような笛など似てるところも多い。<あ,こんな笛はインド映画で聞いたことがあるぞ…(@_@)。

 ところで。昭和35年(1961)には同じ題名のミュージカル・コメディ映画(音楽:宮川泰!)が,ジェリー藤男と森山加代子で作られています。てことは相当なヒットだったのだろうと推測されますね。ビデオ化されているなら見てみたいものです。
 一方,九ちゃんと競作だったという“東京ドドンパ娘”渡辺マリの方があまり知られてないのはどうした訳なのでしょう? 東京キューバン・ボーイズをバックにセリフ入りの歌なんだけれど。もしかすると「みんなのうた」でやってないか,コレで記憶の棚に残ったんじゃないのか?そんな気にさせるバージョンであります。

 歌のルーツを辿って行けば,古い伝承バラッドから河内音頭の新聞読みまで,各地にマスコミ代わりの歌がありましたし,童謡と昔話の境界も案外低いものだと感じられる歌もあります。なのに,近頃はとんと物語りの歌を耳にしなくなりました。
 書店のBGMなどで個人的な悩み事相談みたいな歌詞が聞こえて来たりすると,もっと大らかな気持ちになれる歌が聞きたいって思いますな。人生や悩める青春の恋愛相談や応援歌も思想や哲学も脇に置いて,他愛のない恋歌やユーモアのあるコミック・ソングの方がずっと楽しいと思う・・ぞ。と。
| gingerpop | oldies | 21:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
ドミニク (Dominique)
 NHK「みんなのうた」が大好きでした。同じ町内に電器屋があって道路から一台のテレビが見れるようにしてあったので,遊び疲れて家に帰る近所の子供達とブドウの房のように頭を寄せ合いながら,夕食前の時間を過ごしたものでした。不思議な怖い歌,季節感のある歌,無国籍な歌,お話のような空想力を掻き立ててくれる歌が印象深く思い出されます。現在放送されている番組は,同じ名前・同じ形式であっても時代性に囚われて,全くつまらない番組になってしまいました。
 視覚的には風景の映像,幻想的なアニメーション,切り絵,当時のテレビで考えられる手法はすべて試みられていたと思います。歌も映像も子供に媚びることなく,かと言って作家のエゴが表面に出過ぎることもなく普遍的に良い作品を生み出していました。

 で,♪ドミニ〜クニクニク 心やさしく強〜い人で〜の“ドミニク”です。スール・スーリール(Soeur Sourire)なるベルギーの修道女のみなさんのコーラス隊が…「天使にラブソングを」を思い出しますな…ザ・シンギング・ナン(The Singing Nun)と名前を変えてヒットさせたのだそうです。1963年のビルボードのナンバー1ヒット。この年は米語以外のNo.1ヒットが2曲も生まれた記念すべき年だったのですね。もう1曲?もちろん“スキヤキ”ですよ。(^o^)//

 オールディーズを聞き始めて戸惑うのは,競作が多くあって,どれが自分の記憶にあるものなのか分からなくなる事です。調査して行くと“ドミニク”も歌詞の内容が大きく違う少なくとも3種類の日本語バージョンがあることが分かってきました。

 単純明快なのは「みんなのうた」版。神の教えを説いて回る貧しき修道士の歌です。一方,ペギー葉山版はマコトに歴史的・戦闘的な言葉が目立ち,あれれれと思っていると,13世紀の異端審問と十字軍の歌だったのです。原曲とほぼ忠実な訳のようですが,教義に厳格・質素な生活で知られるドミニコ修道会の始祖を称え,♪ドミニコ,我らの師〜と歌われた部分はカットされた模様です。♪他宗の者と教えを競い〜の部分は,元は♪アルビジョワ派と競い力の限り戦う〜だったのだそうです。歴史に強ければ楽しめそうでしょ。(笑) ザ・ピーナッツ版は未聴。

 さて“ドミニク”にも女性版がありました。♪ドミニ〜カニカニカ 粗末ななりで〜と歌われるバージョンです。調べてみると,♪それはめくらの少女 閉ざされた黒い瞳〜なる歌詞を覚えている人を発見。デビー・レイノルズ主演の実話を元にしたミュージカル映画「歌え!ドミニク」(1966)から,デビーが歌ったフランス語バージョンの翻訳なのだということらしいです。それにしても「めくらの少女」って・・。当然今では放送もCD化も自粛して出来ないんじゃなかろうか。誰が歌っていたのか,知ってる人いませんか。
| gingerpop | oldies | 02:16 | comments(1) | trackbacks(0) |
モスコーの夜はふけて(Midnight In Moscow)
 手持ちのザ・ピーナッツのベスト盤には収録されていなくて口惜しい曲。長いこと“ワシントン広場の夜は更けて(Washington Square)”とごっちゃにしてまして。時々とんでもない勘違いをしていた事に気付いて冷や汗が出ます。…例えばアルバート・リーとアルビン・リー…とか。(;^_^)ゞ

 オリジナルはイギリスのトラッド・ジャズの代表ケニー・ボール(Kenny Ball)。ここで言うトラッド・ジャズとはディキシーランド・ジャズがイギリスに渡って展開した独特のスタイルの音楽を指していて,1950年代に人気を博し,スキッフル・ブームへ引き継がれてブリティッシュ・ビートの実を結ぶことになります。が,それはいずれ。
 ちなみに,ケニー・ボールは来日時に“上を向いて歩こう”を気に入って“スキヤキ”としてヒットさせ,九ちゃんのアメリカでの大ヒットのきっかけを作った人として知っておけば,雑学の足しになるでしょう。(^_-)

 1960年代前期までの欧米の流行音楽が世界音楽であった証拠として,この曲を語っても良いかもしれません。原曲はロシアのもののようだし,北欧エレキ・インストバンドの雄ムスタングス(確か現役!),アルフレッド・ハウゼのタンゴでも,ラテン界でもヒットしていたそうです。何曲くらいカバーがあるんでしょう。

 昭和37年(1962)のザ・ピーナッツのバージョンはジャズよりはタンゴの風味がします。余りスウィングさせずミディアム・テンポに落として,ロシア臭さを表に出した編曲の妙もあったりして,他に類を見ないハーモニーや,クレッシェンド/デクレッシェンドを波のように聞かせるスタイルはもう完成していて,追従者は現在でもおりません。
 編曲は育ての親である宮川(宇宙戦艦ヤマト)泰氏で,新奇なものに目ざとい人だったんでしょうね。70年代にはヘヴィな前衛的ロックまでコンサートで歌わせてたんだから凄い人です。歌ってしまうピーナッツも凄いですけどね。キング・クリムゾンの“21世紀の精神異常者”やユーライア・ヒープの“対自核”ですよ,まったくぅ。

 一方,イギリスのトラッド・ジャズのブームから生まれたもう一つのヒット曲に“小さな花(Petit Fleur)”があって,これがザ・ピーナッツのデビュー曲“可愛い花”だったりするんですが,これを1959年にアメリカでヒットさせていたのがクラリネット奏者のピーナッツ・ハッコー。“可愛い花”のB面が“南京豆売り”。ふ〜〜ん,新人のデビューにしては中々洒落た(イタズラな)選曲だこと。今ではちょっと高尚過ぎてできない事ですわね。〜(@_@)〜
| gingerpop | oldies | 21:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
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